[レポート]AWSへ移行が成功した3つのFSIアプリケーション #reinvent [FSI201-L]
こんにちは。DA事業本部の春田です。
本記事は、AWS re:Invent2019の FSI201-L: Leadership session: Running critical FSI applications on AWS のセッションレポートです。
The English version is here.
概要
As financial services institutions strive to grow their businesses and better serve customers by building secure, flexible, and scalable solutions on the cloud, they have gained the confidence to run their most business-critical applications on AWS. In this session, Frank Fallon, VP of Worldwide Financial Services at AWS, discusses the industry’s growing reliance on the public cloud and the strengthening of ties between business and IT. Frank is joined by senior executives of leading financial institutions who share why and how they moved key applications to AWS —and the benefits they have realized as a result.
クラウド上でセキュアでフレキシブル、スケーラブルなソリューションを構築することで、ビジネスを成長させ、より良い顧客体験を提供するために努めてきた結果、金融サービス機関は、AWS上で最もビジネスクリティカルなアプリケーションを運用する信用を得てきた。このセッションでは、AWSの世界的な金融サービスのVPであるFrank Fallon氏が、業界がパブリッククラウドで拡大させている信頼についてと、ビジネスとITの繋がりの強化過程について議論します。Frank氏に業界をリードする金融機関のシニアエクゼクティブが加わり、なぜ、どのように重要なアプリケーションをAWSに移行したのか、またその結果得られたベネフィットについてシェアしていきます。
スピーカー
- Frank Fallon
- VP Financial Services, Amazon Web Services
- Nitin Tandon
- Principal, Vanguard
- SANTOSH BARDWAJ
- VP
- ADVANCED ANALYTICS & CLOUD, DISCOVER FINANCIAL SERVICES
- Robert Palatnick
- Managing Director, Chief IT Architect, Depository Trust & Clearing Corporation
金融機関は規制が厳しく、簡単にはクラウド移行することができない状況の中、クリティカルなアプリケーションをAWSに移行し、クラウドのベネフィットを享受できた企業の例を3つご紹介します。
re:Inventでの金融サービスの歴史
金融サービス業界は進化し続ける
- 2015
- クラウドに着手開始、検証
- テスト環境でのオペレーション方法を紹介
- マルチAZを利用した回復性について
- 2016
- より洗練されたトピックに
- ディザスタリカバリ、リスクマネジメントについて
- 2017
- よりクラウド移行が本格的に
- セキュリティ、コンプライアンス、アカウントマネジメントについて
- 2018
- デジタル・イノベーション、デジタル・チャンネル、機械学習について
- すべての領域が議論の中で浮上
変化が最重要
- ビジネスの変貌をサポートするために、AWSとパートナーは協働で何を行っているのか?
- 新しいリサーチデータプラットフォームの促進
- オープンバンキングの機能を展開
- クリティカルなアプリケーションをクラウドへ移行
- JPモルガン・チェース: 50以上のアプリケーションを3週間で移行
- アクサ: グローバルなランディングゾーンをデプロイ
- ゴールドマンサックス: 投資リサーチプラットフォームを導入
- バークレイズ: 新しいリサーチデータのプラットフォーム
- ナスダック: データウェアハウスをデータレイクへ
- ナショナルオーストラリア銀行: コンテンツ・センターの変革
- HSBC: サーバレス仕様のオープンバンキング
- Robobank: 機械学習を可能にした新しい融資ソリューション
DTCCのケース
- およそ50年前に設立され、まさにペーパークライシスの時期だった
- 全ての紙ベースの取引情報を中央集権型のコンピュ=ター台帳に移行
- 保険業界のETFの相互資金のためのサービスを提供
- 世界中の規制官へレポートを提出するグローバルな取引情報蓄積ビジネス
- US$1,854兆 → 昨年のセキュリテイ・トランザクションを処理した数
ビジネスの回復力
- 回復力(resiliency)にフォーカスする
- 技術的問題としてではなく回復力に着目する金融業界
- よりビジネス主導で進めていく必要がある
- 技術面での回復力
- 運用面での回復力
- 所有、運用、テスト、コントロールの保持、災害時の対処法
- 金融面での回復力
- 市場の崩壊や大きな金融機関の倒産が起きた時、マーケットをどうスムーズに維持していいくか?
復旧のガイドライン
-
復旧戦略を導入し、組織やカルチャーに反映させる3つの視点
- ガバナンスと、ガイドラインやフレームワークの確立
- 適切なコンポーネントで構築するアーキテクチャ
- ビジネスで何を達成させたいさせたいか?と、そのためのエンジニアリング
- 回復力のある性能をデザイン
- システムの中断は必ず起こるものとする
- どのリージョンでも可用性を確保
- 透明性の高いフェイルオーバーをデザイン
- リージョン外への復旧
- データ損失を最小限に抑え、継続性を確保
- 復旧が成功する確度
- コントロールと認証を構築・自動化する
アーキテクチャ・アプローチ
- 復旧アーキテクチャ構築の方針
- アーキテクチャを参照
- 論理的・物理的モデル
- 導入方法を参照
- どのようにEC2やS3などのAWSサービスで導入するのか?
- 導入を実行
- それぞれのアーキテクチャをビジネス価値に変える
回復性のアクティブ・エンジニアリング
- Chaos
- Netflix, Chaos Monkey
- 故障モード解析(Failure Mode Analysis)
- サービス認証(Service Validation)
- サービス制限のメトリクスを通知・可視化
- CARE (Cloud Architecture Resilience Engineering)
- DTCCの実験では、レプリケーションのレイテンシの削減をAWSで実現
Vanguardのケース
Vanguardとは?
- 世界有数の巨大な投資顧問会社
- 事業の目的
- すべての投資家に公平に寄り添い、投資で成功するための最高の機会を提供する
- 15ヶ国3000万人の投資家に助力
- 毎日、ポートフォリオマネージャーが20億ドルが新規で投資している
- 6兆を管理し、うち20億が正味新資金流入
- 社員数17,000人以上
Vanguardのクラウド・ジャーニー
- 2015: パブリック・クラウドにアプローチ
- スケール性にもイノベーションスピードにも合っていなかった
- 2016: ウェブアプリ MVC
- セキュリティの承認を得る
- ランディングゾーンの構築
- クラウド・アーキテクチャをデザインし、プラットフォームを構築
- 2017: クラウド上での新たな開発と分析 MVC
- オンプレのHadoopクラスタをAmazon EMRに移行
- 2018: ウェブと分析の広がり
- ミッションクリティカルなアプリへ舵を切る
- 2019: 中心となるウェブサイトの性能向上
- 巨大でモノリシックなウェブサイトをどうリファクタリングするか?
- メインフレーム、DB2の依存関係をどう解消するか?
- ソリューションをどうスケーラブルにし、機能させるか?
クライアントのアクティビティ
- ウェブサイトのトラフィックの80%が、ログイン画面や残高画面を含める5〜7のページに集中
中心となるウェブサイト
- メインフレーム依存の解消
- DB2のデータをDynamoDBにレプリケーション
- 膨大なトラフィックを受けるJava製のページを、DynamoDBから直接読み込ませるようにマイクロサービス化
- スケーラビリティ
- トラフィックの20%がオンプレミス、80%がAWSに行くパターンと、その逆をテスト
- 段々とAWSへの負荷を上げていく
ベネフィット
- 計画されたダウンタイムを75%削減
- 予期せぬダウンタイムを30%削減
- デプロイ頻度が20倍向上
- アジャイル・CI/CDによりスケーリングが容易に
- スケーラビリティ + アジりてい +
- Scalability + Agility + NWOW(New Ways Of Working) → クライアントの大きな利益に
Discoverのケース
Discoverについて
- クレジットカード
- 1440億ドルのカード売上高
- 740億ドルのクレジットカードの売掛金
- デジタル・バンキング
- 520億ドル以上の顧客の預金
- 100億ドル以上のプライベートの学生ローン
- 80億ドルの個人ローン
- 決済サービス
- 2460億ドル以上の決済サービスの規模
- Discoverネットワーク → 16のネットワークアライアンス
- PULSE: ~2.1MM、134ヶ国にATM
- Diners: 190以上の国・領域
データドリブンの顧客体験
- なぜデータアナリティクスに注目しているのか?
- データはあらゆるテクノロジー変革の基礎
- よりデータ分析中心の方法で意思決定がしたい
- 価値を得るためにクラウド移行と結びついた具体的なユースケースが欲しい
- より多いデータ
- より良い分析
- より良い体験
- さらなる顧客拡大
- (繰り返し)
クラウドが可能にする変革
- スケーラビリティ: データ・フットプリントが300%拡大
- デリバリー: デリバリーのスピードが10倍向上
- 公開までの時間: デプロイ時間を99%削減
- クラウドエンジニアが25倍成長
現在予想信用損失額(CECL: Current Expected Credit Losses)
- 現在予想信用損失額とは?
- 貸倒引当金を計算する新しい会計スタンダード
- 課題
- これまでの計算には12ヶ月から18ヶ月の取引データが使われてきたが、不十分
- テラバイトサイズのデータセットを元にモデルをトレーニングのにかなり時間がかかる
- 大規模なデータセットの機械学習に合わないレガシーな環境
- 精度が必要不可欠
- 少数の誤差が大きな影響を与えるため、精度が非常に重要
- 計算式の小さな変更が、数百万単位の修正につながる
- 顧客体験の向上
- テクノロジーとビジネスをどう合わせて活用するか?
- リアルタイムデータの導入
- 機械学習の導入
- マイクロサービスベースのフレームワーク
- オンプレミス
- これまでの計画: モデルのトレーニングに数日、プロダクションに数ヶ月
- スケールの物理的な制限、フットプリントのプロビジョンの時間、巨大なデータセットを扱う際のパフォーマンス・ボトルネック
- クラウド
- 現在の状態: モデルのトレーニングに数時間、プロダクションに数日
- コンテナ化した分析処理、自動化、オンデマンドスケーリング、Redshiftによる高速処理
- 将来の計画: モデルのトレーニングに数時間、プロダクションに数時間
Digital Edge 2019 Awardsの勝者: Collections Lighthouse
- 誤検知の削減
- 非行予備軍に対する効率的な身元証明
- アウトバウンドコールを40%削減
- デプロイまでの時間を60%削減
- 順調な決済が28%増加、顧客の信用確立に貢献
- クラウドが可能にした顧客体験
- リアルタイムデータの導入とクラウドベースの意思決定
Q&A
- 次のステップは?
- Vanguard
- 現在の進捗は70%であり、2020年までに80%
- 全体のポートフォリオをシンプル化、プラットフォーム化
- DTCC
- クラウド統括のインサイトを得たい
- 様々な視点からクラウドをコントロールし統括できる、フレームワークやダッシュボード
- コントロール・プレーン
- あらゆるエラーやステータスをレポートするエコシステム
- クラウド統括のインサイトを得たい
- Discover
- クラウド統合を加速
- データがあるところのセキュリティを強化
- クラウドを使って機械学習やリアルタイム分析の領域にもっと投資
- 才能ある人材
- Vanguard
- クラウド移行によって起きた、組織に対する一番のインパクトは?
- Discover
- 変革と適切化
- DTCC
- アジリティ
- インフラのプロビジョニング
- 資金
- イノベーション
- 顧客のニーズへの対応
- デプロイ頻度の向上
- アジリティ
- Discover
AWSで描く明るい未来
- レガシーシステムのモダン化
- 顧客のニーズの変化を予測
- 新たなビジネスチャンスを開発・促進
- 厳しいセキュリティやコンプライアンス要件にも満たす